日本人と中国人とのご結婚手続きを数多くご依頼いただいている
アルファサポート行政書士事務所が、中国人との結婚手続きを分
かりやすくご説明します。
Ⅰ 中国での結婚手続きを先にする
Ⅱ 日本での結婚手続きを先にする
Ⅰ 中国で中国人と結婚する
中国人と日本人との結婚は、何か特別なご事情が無い限り、中国の
手続きを先行させることが通常です。
Ⅰ-1 概要
中国人と日本人が結婚する場合には、後述する中国側の手続き上の
事情から、中国での手続きを先行させる(中国で創設的に結婚する)
のが通常です。
中国で結婚するためには、「婚姻登記処」という役所に結婚を登記
(登録)する必要があります。
婚姻登記処で結婚の登録が完了し、「結婚証」という赤い手帳が交
付された時点で、婚姻が成立します。
Ⅰ-2 婚姻登記処(婚姻登記機関)
中国人と日本人間の結婚を担当する婚姻登記機関は、人民政府民政
部門又は人民政府民政部門が定めた機関とされています
(中華人民共和国婚姻登記条例第2条第2項)。
Ⅰ-3 日本人の用意する書類
婚姻登記所で要求される書類は、登記処により、担当者によりか
なりバラつきがありますので、必ずご自身が出頭予定の婚姻登記
処に事前に確認しましょう。
中華人民共和国婚姻登記条例には、次の記載があります。
【第5条 第4項】
外国人が婚姻登記を行なうには、次に列挙する証明書および証明
書類を提出しなければならない。
① 本人の有効な旅券又はその他の有効な国際旅行許可証明書
② 所在国の公証機関または権限を有する機関が交付し、中国
の当該国駐在大使・領事館または当該国の中国駐在大使・領
事館の認証を経た、本人が配偶者を有しないことの証明または
所在国の中国駐在大使・領事館が交付した本人が配偶者を有
しないことの証明
パスポート
婚姻要件具備証明書
日本で用意して中国へ持参する場合には、法務局で取得します。
その後、日本の外務省と駐日中国大使館で認証を受ける必要が
あります。法務局で発行されたものを認証を受けることなくそ
のまま中国へ持参しても、中国で使用することはできません。
今回のご結婚が再婚である場合には、別途、離婚や再婚の事実
を証明する書類が求められる場合があります。
中国にある日本大使館で入手することもできます。
Ⅰ-4 中国人の用意する書類
中華人民共和国婚姻登記条例には、次の記載があります。
【第5条 第1項】
内地居住者が婚姻登記を行なうには、次に列挙する証明書及び
証明書類を提出しなければならない。
① 本人の戸口簿、身分証
② 本人が配偶者を有せず、かつ相手方当事者との間に直系血
族及び4親等(3代)内の傍系血族の関係を有しないことの
署名入りの申告
戸口簿(戸籍簿)
居民身分証
パスポート
写真 3枚
Ⅰ-6 日本に結婚を報告する
Ⅰ-7 日本の配偶者ビザを申請する。
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Ⅱ 日本で中国人と結婚する
日本での結婚手続きを先行させた場合には、中国で婚姻登記を
することができません。
中華人民共和国婚姻登記条例第5条第4項は、外国人が中国で
婚姻登記を行なう場合には、次の①②の書類を提出すべきとし
ており、日本で既に結婚している場合には、②の書類を提出す
ることができないためです。
① 本人の有効な旅券又はその他の有効な国際旅行許可証明書
② 所在国の公証機関または権限を有する機関が交付し、中国
の当該国駐在大使・領事館または当該国の中国駐在大使・領
事館の認証を経た、本人が配偶者を有しないことの証明又は
所在国の中国駐在大使・領事館が交付した本人が配偶者を有
しないことの証明
Ⅱ-1 日本の手続きを先行と、中国での結婚の成立
中国人と日本人とが結婚する際に、日本での結婚手続きを先行
させると、中国で婚姻登記をすることができなくなります。
その理由は上述しました。
そこで、日本での手続きを先行させると、中国での結婚は成立
しないようにも思われますが、そのようなことはありません。
この点につき、日本の法務省は次のような見解を示しています。
法務省民一第1885号
平成14年8月8日
法務局民事行政部長 殿
地方法務局長 殿
民事局民事第一課長
日本人と中国人を当事者とする婚姻について(通知)
標記についての中華人民共和国の見解が下記のとおり明らかとなり
ましたので、これを了知の上、貴官下支局長及び管内市区町村長に
対し周知方お取り計らい願います。
なお、平成3年8月8日付け法務省民二第4392号民事局第二課長通知
は廃止します。
記
1 日本国に在る日本人と中華人民共和国に在る中国人が日本におい
て婚姻した場合であっても、同国民法通則147条が適用され、同国
国内においても有効な婚姻と認められる。したがって、当事者は同国
国内であらためて婚姻登記又は承認手続を行う必要はない。
2 日本国の方式で婚姻したという証明は、日本国外務省及び在日本国
中華人民共和国大使館又は領事館において認証を得れば、同国国内でも
有効に使用できる。
上記、書面を読めば、「中華人民共和国の見解が下記のとおり明らか
となりました」とありますので、日本国として、中国に国家としての
見解を確認したものと考えられます。
この通知から明らかなことは、日本で婚姻を先行させ場合、(婚姻登
記をする道はないが、)中国でも結婚は有効だということです。
ただし予想されることとして、将来もし結婚したご夫婦が中国で婚姻
生活を送ることとなった場合に、自分たちの結婚を証明するためには
その度ごとに日本での書類取得が必要と考えられ、不便が生じること
です。
このため、通常は日本での結婚手続きを先行させることになります。
この記事を書いた人
行政書士 佐久間毅(さくま・たけし)
東京都出身。慶應義塾志木高等学校、慶應義塾大学法学部卒。高校在学中に米国コロラド州のイートンでホームステイ。大学在学中は、他大学である上智大学の国際法の権威、故・山本草二教授の授業に通い詰める。大学卒業後は民間の金融機関で8年間を過ごし、現在は東京・六本木でビザ専門のアルファサポート・行政書士事務所を開業。専門は入管法、国籍法。執筆サイト:配偶者ビザ